こけしについて
こけしは江戸時代中期以降、1716~1736年に生まれたものとされています。この時代の子供たちの髪型が芥子の果実のようで芥子(けし)坊主と呼ばれており、これに似ているので「こけし」になったという説や、木製の人形を意味する言葉から来たという説などがあります。農業や林業の冬の閑散期に温泉地のお土産品や、子供のおもちゃとして作られ始めたこけしは東北6県(青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島)各地に存在し、各地の伝統の形や模様、それぞれのこけし工人の作風などに特徴があります。こけし発祥の場所は宮城県とされ、遠刈田が起源ではなないかとされていましたが、近年、江戸時代の書物が発見された結果、作並が起源であると思われます。
写真提供:青葉こけし会
日本では第一次こけしブームに始まり、近年では第三次こけしブームを迎え、コレクターが多く存在します。海外でも高く評価され、日本伝統工芸品、インテリアとして重宝されており、コレクターが各国にいます。
なお、こけしの起源を「子消し」であると紹介していることがありますが、これは根拠のない事実で、実際にそのような史実は一切ありません。
こけしマップ
東北6県のこけしの特徴
宮城県
- 作並系
- かつて子どもが握って遊んだ名残といわれる細い胴が特徴で、胴の裾を絞った形、そしてカニ菊と呼ばれる紋様が代表的です。近年作並がこけしの発祥とされる文書が見つかりました。
- 遠刈田系
- 伝統こけし三大発祥の地の一つと言われ、頭には赤い放射状の飾りに、切れ長の細い目となで肩の細い胴、重ね菊や木目模様が特徴です。
- 鳴子系
- 伝統こけし三大発祥の地の一つと言われ、首を回すとキュッキュッと音が鳴るのが特徴です。菊花など華やかな模様が描かれています。
- 弥次郎系
- 頭は大きく、ベレー帽のような多色のろくろ模様が特徴です。胴にくびれがあり、ろくろ模様の上に衿や、裾がシンプルに描かれています。
山形県
- 蔵王系
- 赤い放射状の飾りやおかっぱ頭が多く、どっしりした胴体には、桜くずし模様や菊模様、牡丹模様などが描かれています。
- 山形系
- 胴は細く頭には赤い飾りと中心を貫く髪、顔には特徴のある割鼻が描かれ、胴の模様は紅花、牡丹、菊、梅などが主流です。
- 肘折系
- にんまりした表情が特徴で、肩が張って段がある太目の直胴で、重ね菊や、撫子など、草花を描いた模様が多いです。
福島県
- 土湯系
- 伝統こけし三大発祥の地の一つで、頭には蛇の目模様と大ぶりな前髪、髪飾りが描かれ、顔は鯨目におちょぼ口で、胴に横縞模様が特徴です。
- 中ノ沢系
- 土湯系こけしの一つとされてきましたが、2022年に生誕100年を迎え、こけしの系統の一つとして認識されています。大きな目に赤いフチどりをした「たこ坊主」が特徴です。
青森県
- 津軽系
- 裾が広く、胸がふくらんだ胴に津軽藩の家紋である牡丹模様や、だるまの絵などが描かれています。
秋田県
- 木地山系
- 赤い飾り布をつけた大きな前髪や、おかっぱ頭が特徴で縦縞の着物に、梅の花の前垂れ模様を描いたものが代表的です。
岩手県
- 南部系
- 頭部がクラクラと動きます。おしゃぶりから発展したものといわれ、彩色がないものや、素朴なものが特徴です。
創作こけし
- 近年多くの創作こけしが誕生し、伝統工芸品としてのこけしに新たな楽しみとアート性が生まれました。